オーロラの発生のしくみについて解説します。
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太陽風と地球磁気圏 |
地球の磁場は、太陽風によって「磁気圏」という有限の領域に閉じ込められ、太陽風プラズマの動圧と地球の磁気圧のバランスによって、磁気圏の大きさが決まる。昼側(太陽側)の磁気圏境界面までは、地球中心から地球半径の約11倍。夜側の磁気圏は、彗星の尾のように、地球半径の数百倍より遠くまで長く伸びており、その部分を「磁気圏尾部」という。 太陽風は、磁場凍結の原理により、太陽大気のプラズマとともに太陽の磁場を運んでくる。地球の磁力線は赤道付近では北向きになっているため、太陽風磁場が南を向いていると、昼側の境界面で磁力線どうしの結合(つなぎ換え):「磁気再結合」がうまく起こる。太陽風の磁力線とつながった地球磁力線は、開いた磁力線となり夜側へ運ばれ、太陽風粒子は磁気圏へと侵入して磁気圏尾部に蓄えられる。 電気伝導性の流体である太陽風が、この“結合された磁場”を横切ると、自然のMHD発電により、磁気圏境界面で、磁場の垂直成分と太陽風の流れる向きにそれぞれ垂直な方向に起電力が発生する。即ち磁気圏全体に朝方側から夕方側に向かう電場が生じる。発電効率は、太陽風のスピードと磁場の向きで決まる。 図のように磁気圏尾部での磁力線は互いに逆向きであり、磁力線どうしはここでまた磁気再結合を起こす。その結果、完全に閉じた磁力線の一つは地球側に向かい、プラズマが加速・加熱される。 さらに大気圏に到達する前に、磁力線に沿った電位差で2次加速され、そのエネルギーによってオーロラが起きる。 (図:太陽風磁場と地球磁場の磁気再結合の様子 矢印は磁力線の向きを、白抜きの太い矢印は太陽風プラズマの流れを示す。) |
オーロラを宇宙から眺める |
オーロラを宇宙から眺めると、地球の磁極を取り巻く10,000kmもの輪の形になっているが、これは図で示したように、磁気圏尾部では磁力線が開いた領域と閉じた領域が作られ、この両者の境界付近に熱いプラズマが存在しているため、この熱いプラズマの領域(プラズマシート)を磁力線に沿って地球に投影したところにオーロラが現れることになる。 またこのとき、プラズマシートの内側部分(地球に近い部分)では、地球を取り巻く環状の西向き電流:「赤道環電流」が流れ、それにより地磁気が大きく減少し「磁気嵐」が起きる。特に強い太陽風が衝撃波を伴って地球磁気圏に達した場合には、磁気圏は圧縮されて地磁気の水平成分(H成分)が一時的に増加(初相)、その後急に減少し最低値を記録する(主相)。低緯度オーロラが見えるのはそのような状態のときで、磁気嵐の発達に伴いプラズマシートの内側部分がより地球に近くなってくるために、オーロラが高緯度地域から低緯度地域まで南下してくる。すると、オーロラカーテンの上部(酸素原子による暗赤色の発光)が、日本(たとえば北海道)から北の空に見えることになる。 |
日本でオーロラが見えるには |
つまり、日本でオーロラが見えるための条件としては、フレアやCMEといった活発な太陽活動に伴う、強くてかつ安定した南向きの磁場をもつ太陽風が地球に到達し(発生から約2日後:40時間が目安)、大規模な磁気嵐を引き起こすことが必要である。またそのときに、日本が夜側に位置し、晴天であることも重要といえる。 中沢 陽 ( 元 新潟県立自然科学館 自然・天文課 ) |
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