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「星 月を貫く」とは、古い史書にもたびたび登場し、現代では星食(せいしょく)と呼ばれる現象で、月が星を隠すものである。特に惑星の場合を「惑星食」という。 こんな表現にぴったりの現象が、2001年8月16日の未明に起きた。木星が月齢26の月に隠され、また出現する様子は見ていて実に幻想的だった。古人もそんな様子に感銘し、上記の表現によって記録にとどめたのであろう。 特にこの時の木星食は、二十六夜の月と明けの明星(金星)、そしてその隣にはオリオン座の“三つ星”という、共に古くから日本人の信仰の対象となった星々が暁の空に並び、 いっそう神秘さを感じさせるものであった。 夜明けの静寂のなかで繰り広げられる見事な星空の共演。広大な宇宙空間の奥深さと悠久な時間の流れのなかで、個としての自分が、ただそこにあった。 (元 新潟県立自然科学館 自然・天文課 中沢 陽) |
写真=木星食と明けの明星、 そしてオリオン (2001年8月16日午前4時 新潟県湯沢町にて) |
写真=木星の出現と、金星(左下) |